離婚届を住所地もしくは本籍地の市区町村へ提出し、受理されれば正式に離婚が成立します。
したがって、離婚を決意して離婚届に署名捺印しても、戸籍係の窓口へ提出する前に離婚の意思がなくなれば、離婚を撤回することができます。
逆に、自分の意思に反して離婚届を勝手に届け出されたとしても、いったん役所で受理されると離婚の効力が発生します。
離婚届の提出は夫婦揃って役所へ出向く必要はありません。離婚届に記載された筆跡が本人のものか確認されることもなく、押されてある印鑑も三文判で構わず、印鑑証明なども不要ですので、配偶者の一方が勝手に離婚届を作成して届け出れば受理されてしまいます。
もちろん離婚届の偽造は犯罪になりますが、たとえ偽造された離婚届を勝手に届け出されたとしても、役所の受理によっていったん成立してしまった離婚をすぐに取り消すことはできません。
偽造でないにしても、一時的な感情で離婚届に署名捺印し、その後離婚を考え直したものの、配偶者が勝手に届け出るという恐れもあります。
このような事態を防ぐためには、あらかじめ住所地および本籍地の市区町村役場へ「離婚届不受理申出書」を提出することが必要です。
これにより、配偶者が勝手に離婚届を提出しようとしても受理されることはありません。
この不受理申出書は市町村役場の戸籍係に置かれています。
なお、不受理申出の有効期限は6ヶ月なので、期間を延長するには再度不受理申出を提出しなければなりません。
もし、自分の意思に反して離婚届が出され、受理されてしまうと、戸籍に協議離婚の記載が入ります。
それを訂正して抹消するためには、家庭裁判所へ協議離婚無効確認の調停を申し立てなければなりません。
この調停で配偶者が協議離婚について無効であることを認め、さらに家庭裁判所の事実調査で正当性が確認されれば、無効の審判がなされます。
相手が無効を認めず調停が成立しなかった場合は、家庭裁判所もしくは地方裁判所へ協議離婚の無効確認を求める訴訟を起こさなければなりません。
離婚無効の審判・判決が確定すれば、この謄本を付けて1ヶ月以内に戸籍の記載訂正を役所へ申請することによって離婚の記載は抹消されます。
このように離婚届はいとも簡単に受理されますが、いったん戸籍に記載された離婚の文字を抹消するには大変な苦労をともないますので、離婚の意思が固まらない場合や、感情的になっている場合などには離婚届に署名捺印することのないように気をつけましょう。