協議離婚の話し合いがまとまらず、家庭裁判所の調停・審判でも離婚成立に 至らなかった場合、家庭裁判所に離婚の訴えを起こし、その裁判に勝利して、 離婚を認める判決を得なければなりません。 なお、調停手続きを踏まないで離婚の訴訟を起こすことはできません。 離婚の請求と併せて、慰謝料・財産分与などの金銭問題、未成年の子供がいる場合は、 親権者の指定、養育費の請求も同時に行うこととなります。
協議離婚や調停離婚では、その離婚原因は何でも構いませんが、 離婚訴訟を起こす場合には、民法の定める「法定離婚原因」が必要となります。 なお、原則として不法行為におよんだ有責配偶者からの離婚訴訟を起こすことは認められません。
裁判は公開の法廷で行われるのが原則であり、誰でも自由に傍聴することができます。 しかし、当事者または証人が公開の法廷で陳述することにより、社会生活を営むうえで 著しい支障を来すことが明らかな場合や公序良俗に反する場合などには、 裁判官の全員の一致により、憲法の認める範囲内で裁判を非公開にすることができます。
離婚の訴えを起こした側を「原告」といい、その配偶者を「被告」と呼びます。
今までは地方裁判所に離婚訴訟をおこさなければなりませんでしたが、 平成16年4月に人事訴訟法が改正され、家庭裁判所に訴訟を起こすことになりました。 訴訟は原則として夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所へ提起します。 管轄の家庭裁判所と先に離婚調停を取り扱った家庭裁判所とが違う場合、 離婚調停を取り扱った家庭裁判所へそのまま離婚訴訟を提起することもできます。
訴訟の申し立てから判決までは1年近くかかります。 感情のもつれや意地もあるため、一審の家庭裁判所で敗れた側は、 二審の高等裁判所に控訴し、さらに上告して最高裁判所で争うこともあります。 裁判が長期化する可能性もありますので、精神的にも経済的にも大きな負担が掛かります。
離婚請求は本人の主張だけでは認められません。 証拠裁判主義が大原則ですので、訴えを起こした側が法定離婚原因を立証する必要があります。 証拠書類を集めて、必要であれば証人にも出廷してもらい、破綻に至る経緯や有責性など 主張事実を客観的に立証しなければなりません。
しかし、不貞の証拠を自分で集めようとしても、ノウハウがなければ裁判で認定される 確実な証拠を取得することは非常に困難です。 そのような場合は調査力のある探偵社・興信所に相談・依頼した方が良いと思われます。
離婚を認める判決の確定後、10日以内に離婚訴訟の申立人(原告)が 住所地の市区町村役場に、離婚届書1通(証人欄の記入は不要です)、 戸籍謄本1通(または戸籍全部事項証明書 本籍地の市区町村に届け出る場合は不要)、 判決書謄本および確定証明書を届け出ます。
10日以内に届け出ないと、過料の対象になります。
人事訴訟法の改正で、心理学や教育学の専門家である「家庭裁判所調査官」が、 子供の親権者の指定、監護権に関する処分について子供と面接をしたり、 財産分与に関する処分の事実などを調査をすることができるようになりました。
また今まで家庭裁判所の家事審判に導入されていた「参与員」の制度も人事訴訟に導入され、 裁判官が参与員を審理・和解に立ち会わせて意見を聴くことができるようになりました。 参与員は地域社会で幅広い活動を行ってきた人や、公認会計士など専門的な資格を有した人が 選ばれ、審理および裁判に国民の良識を反映させることができます。