養育費の支払いは、おおかたが毎月の分割で行われますが、途中で支払われなくなることが多いのが現実です。
毎月の養育費の金額や期間などを取り決めたら、必ず離婚協議書へ記載し、公正証書にしておくべきです。
支払う側の収入が不安定であり、将来の支払いが確実でない場合などは、ある程度まとまった金額を前払いしてもらうほうが良いでしょう。ただし、多額の養育費を一括で受け取ると贈与税の対象になることがありますので注意してください。
離婚時に取り決めた養育費の金額や期間を、父母や子供の事情や社会情勢によって離婚後に変更することは可能です。養育費の増額、減額、免除、支払い期間の延長などを当事者による協議または調停、審判によって取り決めます。
民法第880条[扶養関係の変更または取消し]
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消をすることができる。
民法第881条[扶養請求権の処分禁止]
扶養を受ける権利は、これを処分することができない。
養育費の受取期間中に下記のような事情により、取り決めた養育費の金額では足りない場合、理由を明確に示して養育費の増額を相手側に請求することが可能です。
養育費を支払う側が、失業や病気などで経済的に困窮し、子供の養育費の支払いが困難になった場合は、養育費の減額を相手側に請求することが可能です。また、子供を引き取り育てる側が再婚し、再婚相手が養親となり、子供を引き取り育てる親と共に、子供の共同親権者となる場合、養育費を支払う側は養育費の減額を請求出来ます。
しかし、子供を引き取り育てる側の再婚相手が経済力が劣っている場合は、子供は生活保持義務の考え方から、別居した親が扶養義務者となり、養育費の減額は難しいと思われます。子供は生活レベルが高い方の親と同水準の生活を別居した親に求めることができます。当然ですが、離婚協議書での合意もなく、再婚や養子縁組をしただけでは、別居した親の養育費の支払義務がなくなるわけではありません。
養育費の減額は、増額する時と同様に、父母の話し合いによる協議にて取り決めます。協議が調わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。子供を引き取り育てる側が再婚し、子供が再婚相手によって十分な養育を受けられていたり、収入が安定していれば、減額の請求を認められる可能性はあると思われます。
父親が子供を引き取り育てる場合の養育費は?
どちらに親権があるか関係なく、親である以上は子どもを養育する義務があり、子供を引き取らなかった母親も、父親に養育費を支払う必要があります。しかし、女性の場合は、職業の選択の幅も狭く、男性に比べて低賃金の場合も多いので、子供を引き取らなかった母親に養育費を請求しない場合もあるようです。